10年くらい前かな、駐車場の前に「空アリ」って文字があって、僕は「くうあり」と呼んだわけ。般若心経の真髄である空の教えが書いてあると。空は何もない状態なのだけどそれがアリ、ないのにある。別の駐車場では「空ナシ」もあって、こっちはないことがない。難解でしょう。それからカメラを片手に、「空アリ」と「空ナシ」の看板の写真を撮り続けていたんです。そんなある日、有馬温泉に泊まって、夜に夢を見た。夢に人が出てきて、井上陽水さんみたいな声で「なぜ全文を集めないの?」って聞くんだ。まいった。それは最初の撮影のときにひらめいたんだけど、「いくら何でもそれはキツいよ」って否定したから、その後ろめたさが原因だろうな。思い立って翌朝は有馬温泉を回って、般若心経の文字を探したんだけど、そうそうあるわけじゃない。で、般若心経の豆本を買って、看板を1文字撮ってはバツを付けていったわけ。
〜中略〜
本にする気はなかったんだけど、本になったら本当の般若心経に見えるじゃないですか。バラバラのものがそろうと何かに見えるというのは般若心経の神髄だし、そもそもなかったものがそう見えているだけだということもわかった。それって、万物が流転することをいち早く知る道なんだよね。
〜みうらじゅん 「こだわり」がないと意味ないじゃん/Tech総研【般若心経の文字を看板の写真で表す『アウトドア般若心経』】
アウトドア般若心経。
ある意味、真に仏教的で真摯な写経ですよね。

artwork:Orbs(etude)
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